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オススメの一冊 バックナンバー008

リアルワールド (集英社文庫(日本))

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リアルワールド ■著者: 桐野 夏生
■出版社: 集英社
■価格: \500 (税込)
■出版時期:2006年2月

<紹介文>
高校生の心の闇をあばく!
母親を殺してしまった少年と、彼の逃亡を手助けすることになる4人の女子高生。遊び半分のゲーム感覚で始まった事件が、やがてリアルな悲劇に集約してゆく。心の闇を抉り出す問題作。

高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

<レビュー/コメント>
初めて読みました、この方の作品。「OUT」なんかで有名ですよね、映画化もされましたし。レズビアンが登場するこの「リアルワールド」を知って読んでみようと思ったんだけど、同郷なのでビックリ。急に親近感。

さて、作品の方はというと。主人公は4人の女子高校生と母親を殺してしまった男子高校生。一つ一つの章が各登場人物の視点で書かれていて、24のような妙なリアル感があります。加えて、文章自体もその高校生たちそれぞれの口調で書かれていて(チョーとか、言ってんじゃんよ、とか)、若干読みにくい。でもこれも「リアルワールド」というタイトルに沿って、よりリアルにするためにこうしてるんでしょう(推測)。

この作品は、ちょっとした好奇心や日頃の無関心が、あれよあれよという間に日常を変えてしまうような事件に発展してしまう様を描いています。且つ、各登場人物の主観で事件を捉えながら、それぞれの個性や他の登場人物との関係が語られます。矢印を使って絵にすると分かり易い、女性特有(と個人的に思っています)の関係性。この関係性が同じ女性として、かなりリアルで、タイトルからすると、これが作者の描きたかったことなんじゃないかと思うぐらいです。男性にはちょっと分からないかもしれません。メイン人物の1人である唯一の男子高校生“ミミズ”は、各女子高校生たちの本当の姿を少し分かったようなセリフを言ったりしますが、実際は分からないだろ?って思います(偏見?)。

そんなに長くはないので数時間で読み終えましたが、なんだか微妙です。さっきも言ったように女子高校生たちの関係図はリアル、とは感じましたが、この小説自体何が言いたいのかはいま一つ分からない。社会の中で「軽い」と考えられがちな女子高校生たちがリアルではいろんな事を実は感じたり考えたり、まるでサバイバルゲームのように武装して生きてるんだってことが言いたいのか、現代社会に潜む上辺だけの人間関係を問題視したいのか、人が狂気の垣根を越えるのは他愛ないことだと言いたいのか、それとも他に何かあるのか・・・。特に手ごたえが何もない状態で、読み応えはあったのに不思議です。

ちなみに、女子高校生のうち1人が同性愛者。一人称がオレで、ボーイッシュです。なぜ4人のうちの1人を同性愛者にしたのかわかりません。彼女視点の章もあり、同性愛者であることについて多少語られています(2丁目話が中心)が、特に小説全体でピックアップされているわけではありません。彼女にとってはとても大きな問題であるのにサラっと流されている気がします。

その他の登場人物も、それぞれの視点で書く章で、抱える問題点に触れてはいますが、深追いしていないので、ちょっと不完全燃焼といった感じ。何故?という疑問よりも、で?それがどうした?って思ってしまうのは、もう女子高校生じゃないからでしょうか(笑)。そんな理由かよ?と思ってしまいましたが、それこそが「リアル」なのかもしれませんね。

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